『嵐にも負けず』 ジャナ・デリオン | 固ゆで卵で行こう!

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時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

 

 

 

〈ワニ町〉シリーズ7作目。

長年行方不明だったシーリアの夫マックスが突然シンフルに戻ってきます。

更にそのタイミングでハリケーン襲来と、文字通り揺れる町にお札(偽)も舞うわで大騒ぎに。

そんな中で起きた事件は、CIAの工作員という正体を偽りシンフルに潜伏していたフォーチュンにとって、そしてシリーズにとって転機となるものに。


今回はフォーチュンの命を狙うアーマドがすぐ近くまで迫っている事で、フォーチュンも大きな決断を迫られます。

そんな訳でシリアスな場面も多いんですが、コメディ部分との塩梅、緊張と緩和がちょうど良い感じったんじゃないでしょうか。



自身への危機だけでなく、町の友人たちにも危険が及ぶことへの心配。


シンフルに留まるのか、それとも離れなければならないのか。


そしてカーターに対して秘密を打ち明けなければならない時期に来た事への苦悩。


そういった緊張感や緊迫感に、物語はグッと締まった印象を受けます。



それらが集約した終盤のアクションシーンなどは、アイダ・ベルやガーディの活躍(?)の影に隠れ、これまでそれほど有能な工作員らしさを発揮できなかった(ように見える)中で、本来のフォーチュンの姿が堪能出来て実に恰好良かったです。

また、フォーチュンがシンフルに来てヤワになってように見えて、その実は人として成長している様子、それをフォーチュン自身が自覚している様子も良かったですよね。

そしてコメディ部分に関してですが、今回も思わず声に出して笑ってしまう事しばしば。

特に便器に関しては「そう来たか!」と膝を打ってしまいたくなる展開が(笑)。
また、「棺」を使う場面ではガーディのタダでは起きないその姿勢に感服です(笑)。


それにしても、やはり今回最も印象的だったのは、シンフルで経験してきた事で自分自身と向き合い、アイダ・ベルとガーディへの信頼や友情が描かれる場面。

これはアイダ・ベルやガーディからフォーチュンに対しても同じように信頼と友情が描かれているだけに、思わず胸も熱くなり、またウルッと来るものがありました。


さて、マックスが戻ってきた理由など予想外の真実が明らかになる様子は本格ミステリーとしての面白味も楽しめましたが、色んな意味で続きが気になる結末を迎えたところで、更なる問題が発生!

 

読み終えたばかりですが早く次が読みたくてしょうがなくなります。

既に8巻の準備に入っているそうなので、楽しみに待ちたいと思いますし、9巻以降も翻訳されるよう、シリーズの応援が出来たらいいなと思っております。